六月
豊島ケイトウ

 会えてよかったですあなたが遠いところに行ったみたいで淋しかったから一つずつ小さな部屋の窓ガラスが静かに開け放たれていくようなお話かしらあなたがこれからも清潔な歌をうたいますように瑞々しい歌がうたえますようにずっとずっと草原を駆ける子どもでいられますように……あなたの写真送ってほしい見たい見たい見たいできれば無精髭のままお願いしますどんな感じで読書していますか?私はこのごろもりもり食べています暇を見つけてはお掃除していますだんだんお部屋が片づいてきました綺麗好きのあなたに嫌われたくないからすべては幻覚だとわかっているけれど私は今日もあなたを好きですはいそのつもりですでもあなたは私なんかにわずらわされることなくうんと読書してうんと賢くなってくださいそしてなるべくお花にお水をあげてくださいね続きが知りたいから仮にお互い精神がおかしくなったとしても言葉はすべてを包み込むのだから健やかな日々を過ごしましょう泣いているの?かわいそう一昨日引きつけを起こしたついでに野イチゴを食べました存外絵日記みたいな味でいいですよ私は何だかそろそろぼんやりお昼寝したい気分ですではまた。


自由詩 六月 Copyright 豊島ケイトウ 2010-08-03 11:55:17
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