獣震夜(業とひまわり)
木立 悟
破けども破けども澄む紙の橋
前からもまた前からも冬は来る
零時すぎ雨鳴らす雨踏み外す
ばね壊しばね上下する遺棄の庭
何という無理矢理な陰ひとつきり
降るときはひとりにも降る始原かな
追いすがる手のひらを負え牢のなか
手をつなぐ千切れてもなお手をつなぐ
けだものに酒そそがれて宵越灯
月を撃ていや月を抱け病ごと
夜の腕まだらにまわる音の色
子と共に母を産む日の響きかな
黄から黄へ空の前の空たなびきぬ
花なのに人は人だけ抱きしめる
夜や夜のがれられない花を聴く
俳句
獣震夜(業とひまわり)
Copyright
木立 悟
2010-08-02 23:03:41