石筆
相馬四弦
工場街の外れにある袋小路
ボロボロになった雑誌を小脇に置いて
今は誰にも咎められない
踊る石筆
アスファルトは真綿のように
こぼれ落ちる問いを吸い込んでいった
ドラム缶に溜まった水で顔を冷やす
錆びた鉄の味
ちっぽけな勇気を振り絞って
家に帰った
ままならないね
ただ投げつけられた小銭を拾って
走っていた夜
自由詩
石筆
Copyright
相馬四弦
2010-08-02 12:38:27