無頼ぶる光
航
無頼ぶる俺の性根照らしてごらん白熱灯
どんなにまばゆく暴いてもなにひとつしゃべってやらない
何も変わらないはずの俺たちの裸眼が
夜毎違うものを見せるのだからもう視力など信じるに足らない
めしどきスプーン投げて家を出る
上腕ぶっちぎってとびだすちぐはぐのサディズムが向かうところ
繰り出す矛先がない、これが俺たちの仕事なのかと論争している工事現場に混ざり
その角を折れた先で燃えている
外灯はいまだけを燃やしている外灯だけが
未来に追いつかぬよう過去に追いつかれないように
バシッ
という発光音とともに焼きついた一瞬背中を燃やす
昼間みたいに明るい
歩き煙草の煙の中で
不安定を推進力にして加速する特急に乗って
俺たちの住む駅をちぎりながら旅立ちたい
いつ見ても背中が
つるはし背負って燃え始めるところ
熱くないぎりぎりで生殺すと夜はそんなことしてる間に
おい終末に向かっているぜ、と
大声張り上げていやな加減で頬を叩く卑劣だ
左腕のセイコーが発火して垢の焦げる臭い立つ
屋上から短針が次々投身自殺している母校で
かなしみに興奮して勃起しそうな股間がそわそわしている
いやだ
もっと縦横無尽にしたい
というときのもっとというのはどこにあるんだいやだというのは
悲劇の真似してうちわを振っても空が飛ばない部屋から
別れる人々を選ばなければいけないとき
無頼ぶらなかった頃の光よ
おまえよりも年を食って想像の付かない俺になることを
いたましく思う必要はないのだ