綺麗なものに憧れて
麻生ゆり
それは水晶の月が照らす場所
星が流れる一瞬の間にだけ現れる
清らかな幻想の大地
そこにいるのはサファイヤの瞳に白銀の髪の麗しき姫
「さあ、旅人よ、この聖水をお飲みなさい」
と銀の器を渡してくれる優しき人
汚れなく透明な心ひとつ持って
正しき旅人はみなこの楽園を目指す
ここは何者も侵すことのできない美しいところ
空には翼びとたちが
オアシスには鱗びとたちが
慈愛に満ちた歓喜の歌を奏でている
「ダケド…ドウシテ私ハ行ケナイノ?」
「夢が見えないあなたには、この愛ある場所を教えられないの」
遥かなるところで
銀髪の姫がそう囁いた