印紙
真島正人
真ん中にテレポートしてくる
定めのない標準
チルチルミチルの
御伽噺はおしまい
窓が開いて
犬の鳴き声が聴こえる
どんなことをしても
償うだろうと
「記憶」が告げる
場所と
空間の差別化を
デザイナーは悩む
その頭が沸騰する
空中を
いろんな武器が
通り過ぎていく
幽霊が
障子を開けて
行ったりきたりする
それの具体的な姿を
見たことはない
ただわずかな違和感
神経につかさどられた感覚が
何かを告げようと
努力している
作り話が
かつて持っていた意味は
その
皮一枚下にあったものはなんだろうと
頭を悩ませ
答えは出ない
やはりそこには
違和感
それだけが口を閉じて
鎮座している
海がきれいな
季節になってきた
人がたくさん現れて
そこを満たす
くらげはまだ
どこか遠いところで待機している
伝統工芸品のように壊れやすい
朝に歯を磨き
7番のバスに飛び乗る
しまった
夏なのに
ハンカチを用意するのを
忘れていた
(僕が書こうとして書けないものを
たっぷりとしみこませて
印紙はそこにあるだろう。
そこにあるそれが何かを驚かし
驚いた何かがすっころぶとき
僕はどこで身を震わせているだろうか。
そんなものが、「想像上」で炸裂し「想像上」は、大切なのにとりあえず無害なので
こんなにも、人々と、共存を許されてきたのだ。)