空を飛べる
くなきみ
いつだって
飛ぼうと思えば
飛べるんだ
空を飛ぶことなんて
僕にとって
容易いことさ
僕は周りに
そう言いふらしていた
いつだって
飛べるのだから
あえて飛ばないだけさ
朝起きると
僕には翼が生えていた
僕の体が
簡単に浮いてしまうであろう
立派な翼が生えていた
周りからは
羨望と尊敬の眼差し
そしてとうとう
僕が飛び立つ時なのかと
待ち構えていた
僕は今まで一回も
空を飛んだことなんか無かった
当たり前だ
こんな翼も付いてなかったし
もし元から付いていたとしても
高い所が大の苦手なのだ
どう翼を動かせば
飛ぶのかもわからないよ
もし飛んだとしても
どこまで行けばいいのかも
わからないんだ
僕は飛ぶことが
本当は嫌でたまらなかった
そんな僕の気持ちを知らずに
周りはどんどん盛り上がっていった
翼はまだ僕の体から生えている