おわかれ
まひ


駐車場の樹の下で 
わたしは黙って雨を見ていた
輪回しをする子供たちが
家路を急いではしゃいでいた

男たちはうつむいて
路面に何かを探していた
ひとりごとは小さすぎて
誰にも聴こえはしなかった

誰かがふと立ち止まり
上を見上げて傘をたたみ
それから黒い空に向かって
口を大きく開いてみせた

わたしはそろそろ飽きていた
それでもここで待つと決めて
今まで立っていたのだから
最期まで決めた通りにしよう

雨はだんだん斜めになった
風が西の方から流れ
それはちょうどあのひとが
歩いてくるのと同じ方角




自由詩 おわかれ Copyright まひ 2010-07-24 11:54:05
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