おわかれ
まひ
駐車場の樹の下で
わたしは黙って雨を見ていた
輪回しをする子供たちが
家路を急いではしゃいでいた
男たちはうつむいて
路面に何かを探していた
ひとりごとは小さすぎて
誰にも聴こえはしなかった
誰かがふと立ち止まり
上を見上げて傘をたたみ
それから黒い空に向かって
口を大きく開いてみせた
わたしはそろそろ飽きていた
それでもここで待つと決めて
今まで立っていたのだから
最期まで決めた通りにしよう
雨はだんだん斜めになった
風が西の方から流れ
それはちょうどあのひとが
歩いてくるのと同じ方角