よこしまなにじ
木屋 亞万

陽射しが強く照り付けるたび
懐かしく思い出される夏の日
肌触りのいい
風がよく通るシャツ
あの頃は
いくら汗をかいてもよかった

日が暮れるまでに帰るルール1
七時になっても日は暮れない
良い子もお家へ帰らない
子どもにもあるサマータイム制
お腹が空いたら帰るルール2

夕立が降る
熱くなった地面が濡れて
すごく雨の匂いがする
大きな校庭に消防車級の水が撒かれる
服が濡れて身体に張り付く

夕暮れが赤とは限らない
雲が染まるほどに色を引き出し
夏の夕暮れは虹色に輝く
緑色の線が赤と青に挟まれて
地平線を縁取っていく

焼いた肉が食べたい
香ばしく焼けたのがいい
味が濃くて油の多い塊に
かぶりついてやる
麦茶をごくごく飲んで
ビールに負けない息を吐く

夏が来るたびに
古き懐かしい時代が浮かぶ
そこに僕はいないはずなのに
誰かが残した記憶が
夢のように脳裏に浮かぶ

日がなかなか暮れないので
花火がまだ始まらない
でも僕はもうそれを見ている
それは誰かが残した記憶


自由詩 よこしまなにじ Copyright 木屋 亞万 2010-07-24 01:14:25
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