『肖像』
東雲 李葉

跳ねるのどの熱さが手の平から伝わってくる
君は水面に顔出す金魚のように喘いでいる
昼下がり 西日は容赦なく目を射ち
閉じたまぶたで君を切断してみたい
どうしようもなく疑わしい 薄い影を踏み
のぞけない瞳の奥に潜む光をただただただ識る
隠されたたからものを奪いに行こうと
力を込めた指先で何かがはじけた
赤く変わった斜光は僕らの身体を包み
君はきれいな服をしわにしたまま惰眠を貪る
声のない会話を繰り返し影も見えない夜
疑うものさえなくした ひとりぼっちの夜


自由詩 『肖像』 Copyright 東雲 李葉 2010-07-23 16:40:22
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