あれ、つまり、その
ヨルノテガム
のっぴきならないのっぴ―のような
蛙の声が雨音にまぎれるような
御飯、パン、御飯、パンのような
星空がスイッチのない電灯のような
ゴミの日のカラスの合唱のような
さつまいもが焼きイモになった焚き火のような
リレーのバトンを落として絶望的な前との距離のような
首を縦に振らない扇風機のような
双子の白猫に振り向かれじっと見つめられたような
今日が明日のような
フケが多いなと思って頭掻いてたら
雪が降ってきたような
夏にかき氷のような
たぬきがキツネに、キツネがたぬきに化けるような
くしゃみと欠伸としゃっくりとオナラが
同時に出るような
降りる駅を寝過ごすような
地響きを血しぶきと言い間違えるような
塵と芥のような
扉を開けると宇宙ビックバンだったような
頭の中を覗くと落書きばかりだったような
精子が卵子に会いに行くような
一曲が7泊8日のような
「のような」を曲がって真っ直ぐ行くと
行き止まりの「のような」のような
手足が揺れて墨を吐く生きもののような
サルも犬かきする温泉のような