あれ、つまり、その
ヨルノテガム









 のっぴきならないのっぴ―のような
 蛙の声が雨音にまぎれるような
 御飯、パン、御飯、パンのような
 星空がスイッチのない電灯のような
 ゴミの日のカラスの合唱のような
 さつまいもが焼きイモになった焚き火のような
 リレーのバトンを落として絶望的な前との距離のような
 首を縦に振らない扇風機のような
 双子の白猫に振り向かれじっと見つめられたような
 今日が明日のような
 フケが多いなと思って頭掻いてたら
 雪が降ってきたような
 夏にかき氷のような
 たぬきがキツネに、キツネがたぬきに化けるような
 くしゃみと欠伸としゃっくりとオナラが
 同時に出るような
 降りる駅を寝過ごすような
 地響きを血しぶきと言い間違えるような
 塵と芥のような
 扉を開けると宇宙ビックバンだったような
 頭の中を覗くと落書きばかりだったような
 精子が卵子に会いに行くような
 一曲が7泊8日のような
「のような」を曲がって真っ直ぐ行くと 
 行き止まりの「のような」のような
 手足が揺れて墨を吐く生きもののような
 サルも犬かきする温泉のような













自由詩 あれ、つまり、その Copyright ヨルノテガム 2010-07-23 04:07:01
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