掬いについて
服部 剛

あっ 

と手が滑ってスローモーションで 
落下するホッチキスが 
すぽり、 
リュックの開いたポケットに、入った。 

その頃僕の大事な友の 
背後にブレーキを軋ませる
車が通り過ぎ 

一瞬の、時間のずれで 
「死」の洞穴から、掬われた。 





自由詩 掬いについて Copyright 服部 剛 2010-07-23 00:00:17
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