忘れた夏(九)
信天翁

蝉しぐれが猛暑をかきたてる
冷房は好みではないので
網戸からのかぜにまかせている
避暑が強制的でないだけに
それは それは ここちよい
世界は「生かされて在る」という
ウラノスからのメッセージだ
    そして 
柿の葉はかげを深めてそよいでいる
   むくげは盛りを見せて往生している
あゝ レースのカーテンも
ひだをひろげて
       深呼吸している


自由詩 忘れた夏(九) Copyright 信天翁 2010-07-20 09:36:02
notebook Home