友釣り
小川 葉
ある真夏の日
万障繰り合わせの上
故郷の川で
友釣りを始めた
はじめに私を鼻に掛けて
流心に泳がせていく
すると懐かしい
あの顔とあの顔が
あの顔のまま針に掛かって
タモ網に収まっていく
やがて日が暮れるまで
知ってる限りの
友を集めていると
ついに釣れなかった
土手の向こうから
歩いてきた君が
捕れたての友たちを
焚き火で焼いて
弔っていく
自由詩
友釣り
Copyright
小川 葉
2010-07-20 03:03:49
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