るる
寒雪



冬でも雪が降らない
そんな暖かい僕の家でも
おまえは寒そうに
ストーブの前で丸くなる


背筋に稲妻の閃光が走るような
艶光りするおまえの
ビロードを思わせる黒い体毛
思わず心を奪われながら
手を伸ばして静かに撫でる
おまえの睡眠を邪魔せぬように


初めて出会ったのは
季節外れの雨が降る
一年前の寒い冬
あの時
膝の高さにも届かない大きさで
懸命にごはんをねだるおまえ
そのかわいさに
僕は与えられる限りの愛情を


おまえは
毛の色とか
体の大きさとか
顔つきの良し悪しとか
そんなことは気にも留めないで
いつでも気まぐれに振舞うのだろう
その潔さに
僕は改めてきみを
この腕に抱きしめた


自由詩 るる Copyright 寒雪 2010-07-19 07:47:31
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