夏の果実2種
雨音些末

<桃>

夏の夕 シャワーを浴びて 丹念に
        君に食まれる 身支度のとき 

うっすらと 産毛の肌が汗ばんで
        早く食べてと 桃の香がして

摑まれて 形を崩す くだものの
        香り満ちゆく 夕暮れの刻(とき)


<葡萄>

侵入(はい)ろうと 白い歯が押すテンションに
        薄皮抗う ピッテロビアンコ

ふっつりと その果皮破る白い歯に
        痛いとも言わず果汁(しる)迸る

薄緑 咀嚼の音もさりさりと
        窓外の雨 未だ止まずに


短歌 夏の果実2種 Copyright 雨音些末 2010-07-18 12:49:28
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