梅雨明け
ミツバチ

雲が白く山肌を覆う
そんな雨が途切れた夕方に
幻を見たような気がした
むせかえる夕立の後で
耳元で囁いた
その柔らかい息づかいが
脳裏に焼き付いて
繰り返すフラッシュバック
目眩の底に沈んでいく

足元に漂う白い霧
決死のダイブをして
溺れていた
君の残り香でいっぱいの枕は
僕を慰めてくれない

形を変えて流れていく
四季を追いかけて
行き着いた先に
楽園があったらいいな
笑った君は
粉々に砕けて
修復不可能
僕の胸に深く突き刺さって
苦しめた

なんて言えば良かったの?
君の望む答えは出せないまま
ライターに火をつけて
強がりの煙を吐き出した
くすんだ未来には
二人の幸せな世界は無かったんだね
君の影が消えてしまった

長い長い梅雨があける
季節と共に去って行った君を
真夏の太陽に焦がして
今は知らない匂いの
人を抱いていたい


自由詩 梅雨明け Copyright ミツバチ 2010-07-17 19:31:30
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