私なりの夏
朧月

黒の陰から
太陽の中へ出てゆこうとするなら
透明なゲートをくぐらねばならないよ
どんな不正直者でもくぐることはできるけど
ああ
真っ白な雲の中に
一筋の黒をみつけて安心する

海のないこの街にあって
なぜか風は潮の香りを運ぶ
胸は高鳴る それが夏か

棒つきのアイス ななめの帽子
目に夏を探して
あの時を探して
夏の自分を探して

あなたの指が長く伸びて
私の両の耳から深く進入してほしい
無理矢理にわかりあおう

流れる汗はやがて
カラダを冷やすとしても
夏の気体は
きっとなにかをはじめてくれる



自由詩 私なりの夏 Copyright 朧月 2010-07-17 12:12:17
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