ストロベリー
三田九郎
おはよう
おはよ
オルゴール壊れた
あの音色は二度と戻らない
今日、何すんの
何もしないの
だって暑いんだもん
真夏の海岸を少年が駆けてく
アクセルを踏み込んで生ぬるい風を追い抜く
君の涙が頬を伝って蒸発していく
あっというまに消えていくものたち
確かにいつか何もなくなる
おはよう
おはよ
オルゴール壊れちゃった
踏んづけちゃった
あの音色、もう聞けないの
何すんの
何てことしてくれんの
私の純情踏みつけてくれたわね
新陳代謝
パーツがなくなって
現れて
さよなら
君とは今日までだったのね
ねえ
冷蔵庫にあれ入ってなかった
買いに行かなきゃ
えー
たまには付き合え
カランコロン
かき氷ください
どれにする?
イチゴ。
口紅にイチゴを混ぜた
頭痛い
痛い・・・
慌ててかきこむからだよ
おばちゃん、
もいっこ、イチゴ。
頭痛いんじゃないの
この痛みがたまんないの
パーツが
なくなって
現れる
なにもかも
確かにあったし
でもなくなるし
パパにもらったオルゴール
そんなに聴いてなかったけど
別れるときってこんなものね
突然終わることもある
あれもこれも
記録してみたって
戻るわけじゃないし
色あせていくし
気持ちなんて簡単に取り戻せないよ
少年も
君の涙も
目の前から立ち去ったものたち
もう帰ってこないのね
こうして浴びてるこの風も
すぐになくなる
私を確認したくて
時々痛みに襲われたくなる
もいっこ、イチゴ。
たまんないの