夏休み
たもつ

 
 
水で出来た線路の上を
指列車がやってくる
わたしは道路の言葉で話しかける
指列車は親指を振って応えてくれる

空から墜落しそうになっている空を
真夏の工場群が
かろうじて支えている

日焼けした子ども達が歓声をあげて
でたらめに走り回る
彼らにしかわからない
悩みや葛藤や計算の中を

自分が自分であることを
疑わなくなってどれくらい経つだろう
上り坂が抜け落ちて
指列車が急停車する
フナムシが数匹降りてきて
海を探している
 
 


自由詩 夏休み Copyright たもつ 2010-07-16 21:08:37
notebook Home