叫べ!
光井 新
ボク、両刀なんだよ。
って言っても、みんな「へぇー」とか「あっそー」とかそんなリアクションで、どうでもいいよって感じでしょ? でもね、違うの、こんなどうでもいいカミングアウトからスベらない話がはじまるの。
ボクさ、両刀だからさ、男の子とも女の子とも恋愛したいの。だからね、両方同時に付き合ってみっちゃった。でね、因果応報かな、修羅場がダブルブッキングしちゃった事があるんだけど、その話、おもしろそうでしょ? 聞きたくない?
パソコンの前のみんなー! おっきな声でこたえてみよー! いっくよー、せーのっ!
(聞きたーい!)
あれれー? 全然聞こえないよー。ボクのパソコン壊れちゃってるのかなー? それとも、壊れちゃってるのボクかなー?
ひょっとしたらみんなの声が小さいから、ボクの所まで届かないのかもー? じゃぁみんなー、もう一度、おっきな声で元気よく、せーのっ!
(聞きたーい!)
うーん……どうしたのかなー? 全然聞こえないやー。どうせ誰も見てないのかなー? ボクって人気無いのかなー? またゼロポイントかなー?
いいよ、もういいよ、もうこの話はしないよ。ボクが両刀で修羅場がダブルブッキングした話なんてどうでもいいんでしょ? いいもんね、ボク、自分の好きなように書くから。それが純文学だもんね。
でも……ほんとは聞きたいんでしょ? 良い子のみんな、素直になろうね。これが最後のチャンスだよ、せーのっ!
(聞きたーい!)
松岡修造さん呼ぶ? ぜんっぜんっダメだよっ! そんなんじゃ世界と戦えないっ!
ねえ、どうしたいの? 君は何と戦っているの? 戦わずに逃げているの?
ボクを敵だと思ってごらん。ボクが世界だ! ほら、戦ってごらんよ。女の敵、男の敵、そんな風に思って、お腹の底から叫ぶんだ! せーのっ!