まろまろ
鵜飼千代子

     若)まろがふたり でそろった!
     いまからね、バチバチッと
     かっこいいとこ見せあうからね
     その間に 逃げるんだよ

     面白そうだからって見ていてもいいけれど
     最後のひとりになったらダメ
     ぼんやりしていては駄目だよ!
     齧られちゃうから

     たとえば、たとえばね
     これっぽっちも本当のことじゃないんだけれど
     わたしも、いま考えたことなんだけど
     丁寧な言葉で呼び付けられて
     最上のお部屋でドア締められて
     蓋付きの湯のみでお茶をすすめられながら
     お説教されたりしたりするじゃないですか。

     お友達みんな、連れて行かれるわたしを見て
     顔面真っ青だったりして

     で、なみだ浮かべながら
     お説教してたりするじゃないですか

     その時、ちっちゃい虫が出て来てね
     わたしが叫んだりするでしょう?
     表情も変えず瞬時にティッシュで潰して
     空になった蓋付きの湯のみにしまっちゃったり
     とか、

     「それ、また使うんですよ!」
     って、わたしが叫ぶと、
     すっごーく嬉しそうな顔で
     「はい」って
     いま泣いた鴉がもう笑った!
     に、なったりしたりしたりすることも
     あるかもしれないじゃないですか。

     でもって、その
     虫 扱いされたら冗談じゃない!
     じゃないですか!!!!!

     その為に今日までわたしたち
     逃げ足を鍛えて来たでしょう?

     おいっちに
     おいっちに

     さあ
     スニーカーの紐を
     きゅっと締めて おでかけだ♪
     どこに行こうか?


     ーー 大物は天井の高い家で育つ                  *1

     
     空の高いところがいいね!




   *1 ミサワホーム創業者 三澤千代治 



自由詩 まろまろ Copyright 鵜飼千代子 2010-07-16 18:17:14
notebook Home 戻る