傷ついたレコード
うずら豆

蔦に覆われた墓石
此処は僕が眠る場所
あの日殺した僕の心が

全ての鎧を剥ぎ取られ
めったやたらに切りつけられた
悪魔の形相で

あまりに恐ろしくて
あまりに痛くて
何も感じないように

僕は僕の心を殺した

心のない僕は
夢を見ることも無く
傷だらけの体は
工業ロボットにもなれず

使われなくなった煙突みたいに
ぼんやり佇むだけだった

よかったのだろうか
心を殺して
よかったのだろうか

針飛びするレコードみたいに
自らに同じ問いを繰り返す

永遠に答のでない
見ることのなかった未来

そこでは幸せがあったのだろうか

少しの希望と少しの後悔
僕のレコードは
あの日から先に進まず
呪詛のように問い続ける


自由詩 傷ついたレコード Copyright うずら豆 2010-07-15 13:38:52
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