雨上がりの声
within

風の中に飛び込んで
空を泳ぎ切る
湧き上がる入道雲まで
真っ青な空間を
かきわけて
辿り着く

遊びにきた子供らの声だけが聞こえる

足首に触らないでください
時につれ
舞い散る花弁のほどに
小さくいなないて
消えてゆく
流れてゆく
川はゆっくりと流れてゆく

私は遠ざかり
赤方偏移を起こす
両の掌の中はクオークとグルーオンでいっぱい
密やかに奏でられる四重奏
地の塩、夜の光、そして反クオーク
悪魔は細部に宿る
ぎこちなく歪んだ笑顔に
共振したよ

un, deux, trois,
烏が少年の陰に溶けて
両の肺が粟立ちはじめた
鰓から産まれた少女たちは
下ろしたてのワンピースを着て
眠っている蛍をさらいにいくのだ

ひも状の泡の中で引き潮に誘われて
みんなどこかにいってしまった
落ちてゆく七月の終わり
骨の啼く声を聞くことでしょう


自由詩 雨上がりの声 Copyright within 2010-07-13 12:58:00
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