カムパネルラの瞳
塔野夏子

カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

君の沈黙 君の横顔
それはなにかうつくしく けれどものがなしい
予感に満ちているようで
僕も黙ったままでいる

僕の脳裡を満たすのは むしろ追憶―― 
こんな風に見た いくつかの星空
君の言葉 君の眼差し

ああだけどそう 君はいつもそしていまも
うすあかりの青い遥かさをどこかに湛えて
それが僕を そしてきっと君みずからをも
はてしなくさびしがらせている

カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

その瞳と 君は深々と見つめあっているようで
うつくしく けれどものがなしい予感が
僕にもふいにこみあげる



個人サイト「Tower117」掲載





自由詩 カムパネルラの瞳 Copyright 塔野夏子 2010-07-11 11:46:45
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