カムパネルラの瞳
塔野夏子
カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空
君の沈黙 君の横顔
それはなにかうつくしく けれどものがなしい
予感に満ちているようで
僕も黙ったままでいる
僕の脳裡を満たすのは むしろ追憶――
こんな風に見た いくつかの星空
君の言葉 君の眼差し
ああだけどそう 君はいつもそしていまも
うすあかりの青い遥かさをどこかに湛えて
それが僕を そしてきっと君みずからをも
はてしなくさびしがらせている
カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空
その瞳と 君は深々と見つめあっているようで
うつくしく けれどものがなしい予感が
僕にもふいにこみあげる
個人サイト「Tower117」掲載