この街
……とある蛙

開け放たれた窓からは
初夏の高台から望む
雨上がりの小さな街が一望出来る。

マッチ箱のような小さな家には
色とりどりの屋根が
張り絵のように
斜面にへばり付いている。

空は真っ青ではあるが、
垂直の奇妙な虹のまわりに
ぽっかり白い雲が浮かんでいる。
白い雲が浮かんでいる。

雲はふわふわと漂っているはずだが
窓から見た雲は静止していて
小半時も経てばどこぞに漂っていくか
チリジリになって消えて行くか
あいまいに浮かんでいる。

今僕のいる 窓のある家も高台に有り、
窓の下は崖っぷちの斜面。

遠くから見る街はあくまでも愛らしく
誠実だ

耳を澄ませば音が聴こえる
パッセージが繰り返され音楽となり、
とてもきれいなリフレイン
必要以上の陽光に
思い出もリフレインする。

この街で生まれた
この街で育った
しかし、今日は 
夕立の中 遠方から帰ってきた。

この窓から望める雨上がりの街は
輝いている。
大きな虹が屹立している
垂直に天まで屹立する虹

虹の下のこの街
街の細部が輝いている。

僕は
この街で育った。
この街で生まれた。


自由詩 この街 Copyright ……とある蛙 2010-07-10 15:30:09
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子ども時代