泣くな 駒野
……とある蛙

クロスバーを叩く鈍い音がした瞬間
頭を抱えた君は
最後まで顔を上げることは無かった
ゲームが終わり
同年の松井は一緒に涙を流していた。

気にすることは無い
君達は偉そうに出来もしないでけちをつけるしか能の無い
批評家、評論家が
想像だにしなかった道の途中の階段を
一段ようやく上ることが出来たのだ。

君達の仲間を信じる想いと
君達の不可能など無いという熱いメッセージと
それに立ち向かう勇気は
眠い目をこすりながら見ていた
もう先の少ない爺の胸をも熱くしてくれた。

君は十分戦ったでは無いか
だれも君を非難する奴などいる訳も無い。


ゼロトップで戦いを始めた君達は
唖然とする訳知り上目線の批評家と称する詐欺師共を無視して
堅実により堅実に

堅い守りは華麗さの欠片かけらも無く
上目線の暇人たちからは
つまらないことしやがる
下手くそな戦いだと揶揄され

しかし、勇気をもって戦った
君達のメッセージは
スタジアムを漂って覆い
衛星を通じて遠い日本にいる我々の胸を熱くした。

大口たたきの目立ち屋は
一瞬の槍を相手に突き刺し、
その後たとえ軽蔑されても守り切るのだ
という強い決意をもって君達は新たな歴史をもぎ取った。

その後の大きなオレンジとの戦いにも
君達はひるむ事なく 最初と同じやり方で
戦った。
もちろん負けたがだれもつまらないなどと
軽口を叩くものはいなくなった。

そして北欧の巨人との戦いは
盾と槍が縦横無尽に繰り出され
だれも君達の戦いを退屈などというものはいなくなったい。
君達の自信に満ちた戦いは
ほんの一月前に上目線だった詐欺師どもの時流を見る目に乗った絶賛の的ととなった。
そうさ君達はゲームに勝っただけでなく、
昔の基準でしかものの見れない
批評家という名の詐欺師も黙らせたのだ。

次のステージの戦いは苛酷だった。
退屈なのか。
否 重苦しいのだ
見せる戦いでは無い。
真剣な戦争なのだ。
お互いを消し合う戦い
それでも果敢に君達は攻め
あるいは攻撃を跳ね返した。
出口の無い死闘は
PK戦という名のくじ引きに

もういいよ
よく戦った。
そして押し潰されそうな緊張感の中
ボールを殺すクロスバー
だれが君に文句をつけられるのだろうか
見ているだけでだれもが胸が苦しくなる
もういいよ
君達はよく戦った
胸を張って帰ってきてくれ。


自由詩 泣くな 駒野 Copyright ……とある蛙 2010-07-03 21:07:42
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