水鏡
朧月

足の裏に雨がついた
足の裏からむこうが水の世界になった
ゆうらゆうらと ひったんひったんと
足の底から水がせまる

私はいっそお願いと
沈むチャンスをうかがっている

雨は惜しみなくふる
ばしゃばしゃ無駄な走りを
試みる青年 なのに表情は
瞳は濁っていず はっとした

ここはどこの交差点
水のゆらめきでみえない
ぼやけた車たちがすぎる
木だけが同じように立っている

足裏の水溜りはもう
私をのむ準備をしてる
ふいにぶつかった男の子の髪も
雨に濡れていた

足裏からの水の世界は
男の子のながぐつを濡らし
恐れないこどもはその足を
蹴散らして世界を壊した

目があった男の子は
どこかあのヒトに似ていた





自由詩 水鏡 Copyright 朧月 2010-07-03 20:29:24
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