文通
長岡瞬

(?)

お腹のなかの緑色した
涼しい星たち
その
熟成のない
天体の運行。

体内のなかにある
岩窟のような暖簾を潜ると
視えない無数の蟹たちの
ねっとりとした体育館。


横歩きするのは、体操器械だけ。


無数の視えない蟹たちの
無数の蟹ミソは
どこかの遠い海にいる
イルカと交信している。
こぼれる泡を
門番のように直立させたまま。


涼しい星たち
の歌垣。
胃に入ってきた
ドロドロの猿たち
に作らせた
巨大なアンティークの机
のうえに
かわせみの脳ミソが置かれている。

かわせみの脳ミソは
「戦中詩」を歌う。
真っ黒な少女のふりをして。


自由詩 文通 Copyright 長岡瞬 2010-07-03 15:46:41
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