文通
長岡瞬
(?)
お腹のなかの緑色した
涼しい星たち
その
熟成のない
天体の運行。
体内のなかにある
岩窟のような暖簾を潜ると
視えない無数の蟹たちの
ねっとりとした体育館。
横歩きするのは、体操器械だけ。
無数の視えない蟹たちの
無数の蟹ミソは
どこかの遠い海にいる
イルカと交信している。
こぼれる泡を
門番のように直立させたまま。
涼しい星たち
の歌垣。
胃に入ってきた
ドロドロの猿たち
に作らせた
巨大なアンティークの机
のうえに
かわせみの脳ミソが置かれている。
かわせみの脳ミソは
「戦中詩」を歌う。
真っ黒な少女のふりをして。