百年目の風船
N.K.

百年目の風船が飛んでゆく
百年目の風船は一つではない

それぞれには手紙と花の種が結わえられ
それからヘリウムと
教会の創立百周年なので
天への思いが詰まっている

風船は一つだけではないから
その思いは一つだけはない
風船は天へ向けてのものだから
その思いは一つである

集った子どもたちは一斉に
「神様ありがとう」と
確かに 風船を飛ばしたのだった

結わえられた種は地上において芽を出して
手紙の返事が子どもたちを
確かに 地上において繋いでいくことだろう

百年目の風船は昇っていく
空は曇っていたけれど
君たちを笑顔で輝かせて

百年目の風船は昇っていく
自分には偶然居合わせていたとしか思えなかった
この地上から
自分の地上の思いを軽々と超えて


自由詩 百年目の風船 Copyright N.K. 2010-07-02 22:05:28
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