ななしのひとみ
こしごえ

何者でもない 何者かへと黙礼をする
白く底の無い曇った空をひとすじつう
っと黒い鳥の影がとおりすぎる。
わたしはいったい誰なのか
しらむおもてに波ひとつ立たずないだ
水平線を立ちつくす
すると
いちじょうのひかりの無表情へさす
一瞬
黒いドレスと髪のみが風にそよぎ
われをわすれる。いつも
しみこおる民はあおぎみる
つかいふるされた亡霊の影を
洗面所の鏡が
ゆらぎつつ手をふりつづけている。
雲のむこうへ、飛び去る影のつめたあい
叫び
銀河の中心の暗い。源流
引力は
ひとつひとつのいのちをひっぱる
誰にも呼ばれず。
出会ってしまうきずだらけのいのり。
わたしになまえはありますか
ほんとうのなまえが
ころがっている石にさえある
つらぬく
という。何者も最期は
ひとりきりだそして
すべてひとつになる
果てしないそらが
この目に映り









自由詩 ななしのひとみ Copyright こしごえ 2010-07-01 07:20:12
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