やわらかな良心
鵜飼千代子

           あなたのやさしさ ちゃんと通じてる
           秘蜜はね スゴイから 秘蜜なんだ
           だから 秘蜜は 隠れるんだ

           秘蜜はね 知りたいでしょう
           知っちゃうとね 覚えなきゃ良かった
           って思うんだ

           秘蜜はね 暴くと 航海するんだ
           晒すとね 胸痛むから せいに
           したくなるんだ
 
           そうするとね 一番弱いところに
           向かっていくんだよぐんぐんぐん
           ぐんぐんぐんぐんぐんぐんってね 
           みんな自分を守るために 必死だ
           ケモノ だね
 
                そうしてね

           追い込んで行くんだ ぎりぎりと
           言ってみれば 順番待ちだ

           ヒトはね それを 知っているから
           関わらない 深入りしない 聞き出さない
           傷つけ たくも られたくも ないから

           秘蜜はね 開くのではなく 包むほうが
           気持ちがいいんだ あたたかでしょう

           そうしてね 包装紙 探してくるより
           誰かに 包まれたほうが 暖かい

                たとえね 

           やわらかな良心が 逆立ちしちゃって 
           とげとげが皮膚に当たっていたとしても
           北風からは守られたんだよ

           あなたが 守ってくれた

           凍りつかないように あなたが
           包んでくれていたんだよ

           やわらかな良心 ありがとう
           大丈夫 ちゃあんと 伝わってるから



        1997.10.27.   YIB01036 Tamami Moegi. 
        初出    NIFTY SERVE    FPOEM


自由詩 やわらかな良心 Copyright 鵜飼千代子 2010-06-30 19:53:49
notebook Home