はるな

ゆうだちに窓にはりつく蛾を迎え

てっぺんをあかるく染める夏至の月

梅の実と氷砂糖がからと鳴る

紫蘇の葉に赤く染まるる指の香よ

梅雨寒の肌と肌とで温みあい

蛇の子の細くすずしいちいさな目

朝方の白鷺の背に涼をとり

台所胡瓜の棘に夏をしる

曇天を切り抜くように揚羽の背

蛤とともにぱかりと夏ひらく

夏衣に淡い気持ちも透けて見え

諦めも溶かして固め寒天の夜

いつくしみ蚊帳の外には出さぬまま



俳句Copyright はるな 2010-06-30 01:43:12
notebook Home