ぷりーず はぐ ゆー
ゆず
「落ちてるよ」
「あ、ありがと……」
どうして私はこうなんだろう。落ちていた消しゴムを拾ってくれた
男子にろくにお礼を言うこともできない。もうちょっと社交性持ちた
いよ。
そう落ち込んでいたところに、いつも一緒にいる花ちゃんが声を掛
けてきた。
「カオリー、どうしたの」
心配してくれたのかな。そんなに私落ち込んでますオーラ出てた?
構ってって言ってるようなもんじゃん! なんてまた落ち込みそう。
ああ目の前が霞む。
気付いたら目の前に心配そうな顔。ああなんか、無性に抱きつきた
い。飢えてるなあ、自分でもそう思いながら。
「ぷりーず はぐ みー」
花ちゃんに抱きつくと、
「それじゃあ私を抱きしめて、じゃん」
って笑われた。
「あ、そっか。じゃあ、ぷりーず はぐ ゆー」
ぎゅー。
「なんかすごい飢えてんだよね」
「なんで私で飢えを癒してるの」
そう言った花ちゃんの顔は、声は、優しい。
だから花ちゃん、すき。