アメリカンウェイオブライフ
真島正人
懐かしさがほしい
喉から手がでるほどに
だが賛同は得られず
君はしなやかに回る
回遊船のように
寂しさばかりが内服液
君は
列車
のゆりかごで
コールアンドレスポンスに
従事
する
未来を
守る
のは君だ
かけがえのない
あれ
を
助ける
のは義務だ
と
大言壮語に
騙され
君が一巡して
ホームベースを
踏む
と
実はみんな
三塁
までで死んでいる
君は
幸福
な
サバイバー
カタリベの
資格
を手にして
唇は震えて
眠る
「ウォッカ一杯
もう
一杯」
「このまま唇凍らして
瞳の奥に隠したいよね」
フィルムはもう
焼け焦げたというのか
携帯電話に不自然な伝言
君
のアドレスは
毎月ごとに変わる
気持ちのよい声と
気持ちのわるい声も
交互に
使い分ける
まるで交尾をせがむように
尻
をつきだし
時代はずれの
チャンキー音楽
軍楽隊の
骨髄
が
カビに犯された
第二小隊は
全滅
滅私奉公もここまで
子供の顔がみたい
不意に目が覚めたら
大型モールの
三階のカフェ
ベルガモット
を
含んだ
紅茶が
苦い
窓からはなにも見えない
あまりにも
激しい
雨
だ
横殴り
煙
みたいに見える
背中から
とんでもない
声
が
聴こえる
この
声
俺にしか聞こえず
俺は
それ
を引きずる
木を削り
砂を
整え
それでようやく
文字を書くのか
版画のような指で
重なりあい
かなぎり声
は押し殺したままで
皮膚全部が裏がえった
裏がえった皮膚は血だらけ
生々しく臭い
そこから
森
が生えてる
最も小さな
音
を
探り当て
たたくごとに鍵盤が笑う
あの笑みは
あざ笑いに見える
君がそこに
いないからだよ
悲しげに
言葉に釘をさしている
人に頼みごとをするよりも
よほど難しい
いくつかの案件
生まれて
そこにあり
脅
かし
自然に消える
遠くから
核心へ
やがて
はっきりとする
語る
語る
語る
沈黙など
吹き飛べ
本質など
吹き飛べ
今日は
朝
から
強風だ