ガリンペイロの恋のうた
恋月 ぴの

話せば判る

夫婦喧嘩した際、父が母に言い放ったような

パパとママ、どちらが好きなの
そんな母の発した答えようもない問いかけに弟と私
布団のなか、ひたすら息を潜めるばかりで

話せば判る

果たして本当なのだろうか

母と娘
とことん話し合ったとしても決して判り合えるわけじゃなく
たとえ判り合えなくとも赦せる
最後には赦される
そんな根っこにあるものに辛うじて支えられているに過ぎないようで

唯一の楽しみだった土いじりを母から奪い
鳥かごのような団地の一室に閉じ込めたのは他ならぬ私自身であるのだから

母は判ってくれているはず
そんな身勝手な憶測で言い知れぬ不安な思いに蓋をする

地球の裏側にだって電話しようと思えば直ぐに繋がるんだけど

話せば判る

付き合いはじめたばかりの彼氏が言い訳がましく呟いて

うん、だといいね

平静さを装いながらも開きかけてた心を閉ざす




自由詩 ガリンペイロの恋のうた Copyright 恋月 ぴの 2010-06-28 18:20:21縦
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