夜のオープンカフェ
Giton

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夜のオープンカフェ
通り過ぎる足音に目を上げる…
高い梢で鳴くのは夜の鳥
なつかしい幻のような やさしい暗やみ
幻聴のような鼓動
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灯りの消えたオープンカフェ
きょうも一日あなたの姿をさがし
そして人のいなくなったビルの下
テーブルと床を きれいに研く
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あしたはあなたが来るのだから
あさってはあなたが来るのだから
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白いスツールとテーブルは 鈍く耀く昼下がり
コーヒーの白い湯気に
悲しいあなたは微笑むだろう
研きあげたガラス器とマイセンに囲まれて
あなたは静かに微笑んでしまうだろう
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淡色の陽のしたで あなたが
あの頃のあなたであるように
誰もあなたを傷つけることのないように
…闇に吸い込まれてゆく箒の音
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自由詩 夜のオープンカフェ Copyright Giton 2010-06-27 12:57:29
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