イビツな定規
くなきみ

僕が持っている定規は
真っすぐな線が描けない
真っすぐな線を描くには
その定規の真っすぐな部分
それはほんの小さな部分しかないのだけれど
そこをずらしながらでないと無理だった
そんな定規捨ててしまって
新しい真っすぐな定規を手に入れれば
済む話なんだけれど
僕はなかなかその定規を捨てられないのだ
そのイビツな定規があるから
僕は真っすぐな線が描けている気がするのだ
ちゃんとした定規を使いだしたら
僕はきっとその定規に頼ってしまって
その定規をちゃんと押さえもせず
真っすぐじゃない線を描いてしまっても
それに気付きもしなくなるんじゃないだろうか



自由詩 イビツな定規 Copyright くなきみ 2010-06-27 12:39:06
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