機械
真島正人

その機械は
複雑に絡まり
複雑に絡まることで
それ独自の形態を
私たちに対して
維持し
対立項の焦点は
いつも限られた香りの中で
現前をする
風の匂いも
身にまとい
人の心を和らげ
同時に
工業製品の匂いで
人の心を
圧倒する

涙で
涙が吹き零れているんで
目の前が
霞んでらぁ

振り向けば
青春期が
測定器の構造の中に
潜り込み
ぶんぶんと
おかしなうねりをたて
うねりはやがて
オイル交じりの
産湯のようなものを
ぴちゃっ
ぴちゃっ

地面に吐き出す
まるで
とばっちりの汁のようなもの
その汁
汁の命が
どこかしらに
核のようなものを持ち
それがあるおかげで
まるで
人そのものの
偽者のような気がする


自由詩 機械 Copyright 真島正人 2010-06-25 09:02:21
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