アコースティック・エミッション
瀬崎 虎彦

パチパチと産卵する月光が
きめの細かいモルタルを舐める
チョコレートの銀の包みを
一生懸命に剥がしている

見よう見まねで月まで来たけれど
なにも食べるものがなかった
太陽が地球の裏側に隠れたら
僕はテントをたたんで帰ることにしよう

この音のない世界に大音量で
バッハが流れていたら良いのにな
そしたら欲が出て色々な音楽を

流してしまうんだろうな
その選曲を君が耳にするのは
何光年も先のこと(空気がない!)


自由詩 アコースティック・エミッション Copyright 瀬崎 虎彦 2010-06-23 22:39:50
notebook Home