交差点
たもつ
窓を開けて欲しい、と男は言った
壁しかない部屋だった
窓を開けた、とわたしは嘘をついた
男は両手を広げると
嘘の窓から青空へと飛び去った
ひとり残され
部屋を丁寧に折りたたみ
ポケットに入れる
歩行者専用の信号が青に変わり
スクランブル交差点の人ごみに
紛れ込んで行ったのは
たぶんわたしだったと思う
自由詩
交差点
Copyright
たもつ
2010-06-23 22:08:00
縦