育ちの悪い10匹ばかりの豚
ホロウ・シカエルボク





おれが日中、腰を据えて
ハシタ仕事をやっているところにゃあ
育ちの悪い10匹ばかりの豚が居て
資本主義という餌を食べて肥えに肥えている
無差別爆撃的に身体に張り付いた
膨大な量の脂肪は
脳に流れ込むはずの血をどこかで止めちまって
やつらの脳の重要なセクションはほとんどが操業を停止している
おかげでまともにものが考えられなくなってしまって
すべての出来事がおかしな方向に流れていってしまう
ああ、10匹の豚、10匹の豚ども、本日も
醜い腹を揺らしてブーブーブーブー騒いでいらっしゃる


10匹の豚どもは、ほぼ毎年
豚舎の意向で数匹入れ替わるが
中に必ずふんだんにイカレた一匹が居て
そいつがおかしな方角へ鼻息も勇ましく走り始めると
残りの9匹が全く同じ方向へ
事の次第も確かめずに走りだす
おれが時々後ろから軽く尻を突っついてやると
天を突くような鳴き声をあげて
飽くことのない突進をひたすら繰り返す
ああ、10匹の豚、10匹の豚ども…
お前たちはいつのまに進化の法則から見放されてしまったのだろうか?


ああ、10匹の、10匹の豚
今日も下品な鳴き声が聞こえる
ああ、10匹の、10匹の豚
臭い豚舎が彼らの誇り
ああ、10匹の、10匹の豚
昨日の腹より肥えている
ああ、10匹の、10匹の豚
誰かまともな成長を
教えてやってはくれまいか…





自由詩 育ちの悪い10匹ばかりの豚 Copyright ホロウ・シカエルボク 2010-06-23 17:47:19
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