夜型生活者の梅雨晴れ
橘あまね
踊りましょう、と誘いの蔓をはりめぐらせて
日没前のクレマチスが笑った
思い出せるだけのメロディを
イヤフォンから流し入れて
電子化されたそれらすべてに
からめとられた夕暮れ
何がしたいのかわからないまま
サンダルをぺたぺた
路傍にゆきすぎる景色が
足の指に沁みる
夏の中身を見つけられずに
いつの間にやら帰り道になっている
夜に咲く花は実りをもたらすことがない
歌っておくれよ
せめて夢でも
歌っておくれよ
誘われて捨てて
踊りましょう、とクレマチスが笑う
日没がすぎたら
スイッチを入れます