夏至
橘あまね

雨つぶに擬態して空からやってくる
ひとつひとつを
見逃してはならない

空想がはなはだしいので
傘を置いてきた
今頃は線路をたどったどこかで
だれかのものになっている

夏の身体はよく熟して
オレンジ
のはらわたを曝している
置き去られて斜めにかしぐ
その上に
雨つぶに擬態した
ひとつひとつが
着床していくよ

ポコ、ポコポコポコ
ぼくらきのうまでの病んだ身体から
昇華してやっとここまできた
空を経由するのも大変なんだ

夜の花の匂いが地表を席巻しつつある
26時の約束
間に合うかな

いちばん深い夜のいちばん深いところ
あ、待ち合わせが、今
甘い欲望をにゅる、と孕んだようだ



自由詩 夏至 Copyright 橘あまね 2010-06-21 22:35:29
notebook Home 戻る