初夏夕景
within

冬に凝縮されていたものが
放散される夏
胡乱な眼で見つめていた
電線で繋がれた道も
砕かれた砂浜の突端で
選択を迫られる

歩いていれば
いつか生から解放される
轍もいつか途絶える

夏が来る前に
農薬で殺された毛虫の骸が
横たわっている

何が違うのだろう
動いている 動かない
息をしている していない
生きている 死んでいる
季節に運ばれて
わたし達はどこへゆくのだろう
今日も気まぐれな梵鐘の音が
夕刻を告げる


自由詩 初夏夕景 Copyright within 2010-06-21 17:17:40
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