水の下書き
昼寝ヒルズ

君のまじめさを
遠くから見て
ぼくは何度も
水の下書きをした

雨の展覧会
氷じゃない光
具現化できない温度
ひとを生むために
まっしろにしていたひとの
あたたかさのようなもの

6月は人から生まれない

こんなにもぼくは水を含み
結晶化されて
なのに水の記憶を思い出そうとして
身体からたえず水を流して

心が動くと人は水を出し
生きるために水を出し
人は出さずにはいられないのに
必ず行き違いが生まれて

何ひとつ正解のない水を
下書きをまじめに繰り返す6月が
ぼくの目の奥で育っている

傘で色を隠して
君を遠くから見て

すべては水の続きだと
絶望のうがいをしながらも

約束のない確かなものが
胸に流れ落ちている



自由詩 水の下書き Copyright 昼寝ヒルズ 2010-06-21 15:50:47
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