水の下書き
昼寝ヒルズ
君のまじめさを
遠くから見て
ぼくは何度も
水の下書きをした
雨の展覧会
氷じゃない光
具現化できない温度
ひとを生むために
まっしろにしていたひとの
あたたかさのようなもの
6月は人から生まれない
こんなにもぼくは水を含み
結晶化されて
なのに水の記憶を思い出そうとして
身体からたえず水を流して
心が動くと人は水を出し
生きるために水を出し
人は出さずにはいられないのに
必ず行き違いが生まれて
何ひとつ正解のない水を
下書きをまじめに繰り返す6月が
ぼくの目の奥で育っている
傘で色を隠して
君を遠くから見て
すべては水の続きだと
絶望のうがいをしながらも
約束のない確かなものが
胸に流れ落ちている