ヒキナギへ
砂木

ナギと呼んで空に心をのばす
心は手になり私になり
ナギに届くと思うのだ

思うのだと思うほど信じてはいない
チチチ と鳴きながら近くを飛ぶのは
警戒の意味もあるのだと
私は警戒にあたいする生き物だと
自分で知っている

餌付けしてなついて もし
私を目印に 猫が寄ってきたりしたら
恐ろしすぎるので 餌付けたりはしない

チチチ と呼ぶ声に空を見るとき
ヒキナギが私に会いたいのではなく
私がヒキナギになりたいのだと
やっと気がついた

巣の回りをうろついたり
むやみに近づいたりはしない
しないけど

ナギ キナギ ヒキナギ
ナーギー

どこかに私の声の通じるとおりが
消えながら目覚めていけばいいな


自由詩 ヒキナギへ Copyright 砂木 2010-06-19 07:12:06
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